第243章

吉田さんは、彼が同意したものと思い、急いで岩崎奈緒に声をかけたが、岩崎奈緒はただ顔をそむけた。

「吉田さん、ありがとうございます。でも、レッカー車はもうすぐ着くはずなので、少し待てば大丈夫です。それに、自分の車についていかないと。今日中に修理して、K市に戻らないといけないので」

吉田さんは彼女が寒そうにしているのを見て、車の中で少し休ませてあげようと思ったのだが。

そう言うのを聞いて、それ以上強いることはしなかった。

最寄りのレッカー車は二十分ほどで到着する。岩崎奈緒はずっと外に立って待っていたが、思わずくしゃみを一つした。

吉田さんは自分の車に戻り、中にいる数人の上司に事情を説明...

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