第245章

深夜三時。

岩崎奈緒は病院から電話を受けた。岩崎雄大が階段から転落し、現在緊急手術中だという。

全ての疲労が一瞬にして吹き飛んだ。岩崎奈緒は傍にあったコートを掴んで慌ただしく羽織り、顔色を変えた。

以前この病院を訪れた際、主治医に挨拶を済ませていたため、医師は独断で彼女に連絡をくれたのだ。

岩崎奈緒が病院に駆けつけると、廊下の椅子に鈴木蘭が一人で座っているのが見えた。しかし、その様子は少しも心配しているようには見えない。

気のせいだろうか?

鈴木蘭は岩崎奈緒の姿を認めると、瞳を険しく収縮させた。

なぜ岩崎奈緒がここに!?

岩崎奈緒は歩み寄り、冷たい声で言った。「私がZ郡へ行く...

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