第246章

藤原光司は今日、K市に戻るのだろうか?

昨日、Z郡で彼の車を見かけたものの、自分の車を修理工場に持っていかなければならなかったため、そのまま別れてしまった。

岩崎奈緒は今、他のことを気にしている余裕はなく、ホテルに一部屋予約した。

解熱剤は常に持ち歩いており、ここ数日は頻繁に病院へ通わなければならない。

ホテルのロビーに着くと、予約した部屋はシステムエラーで、とっくに他の客に渡ってしまったと告げられた。

「誠に申し訳ございません、お客様。お詫びといたしまして、無料でスイートルームにアップグレードさせていただきました」

岩崎奈緒は俯き、カードキーに書かれた部屋番号を見て、口の端を微...

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