第249章

藤原光司が車に乗り込んだ途端、萩原初から電話がかかってきた。

「光司、もう二十分も待ってるんだけど、どこにいるの?」

藤原光司は腕時計を一瞥し、「会議が終わったばかりだ。二十分後には着く」

「相変わらず仕事熱心なのね。こんな所で立たせておくなんて、よく平気でいられるわ」

「どこか座って待っていろ」

萩原初は何も言わず、途端に目元を赤くした。

「光司、あなたすごく変わったわ。昔はこんなんじゃなかった」

藤原光司はこめかみを揉みながら、淡々とした口調で言った。「すぐに行く。レストランは予約してある」

それを聞いて、萩原初の顔色がようやく少し和らいだ。「わかったわ。じゃあ、待ってる...

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