第254章

岩崎奈緒はすぐには目を覚まさず、下腹部にずしりとした痛みを感じていた。

全身に寒気が走り、目の前のものもはっきりと見えない。

生理が来たのだと、彼女は悟った。

ここのところずっと忙しく、Z郡にいた時には濡れた服のまま一晩眠ったこともあり、今回の生理はことさらにひどかった。

吐き気を催すほどの痛みだったが、泊まっているのは急遽手配したホテルで、着替え以外には何も持っていない。

真っ青な顔のまま、震える指先でホテルのフロントに電話をかけ、必要なものを届けてもらえないかと頼んだ。

時刻は朝の六時。ホテルのサービスは素晴らしく、すぐに必要としていた生理用品を届けてくれた。

岩崎奈緒が疲...

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