第255章

寝室のベッドが小さくこんもりと盛り上がり、そこからは柔らかな黒髪しか見えない。

ベッドサイドのランプが灯され、ベッドに降り注ぐ光が温かい雰囲気を醸し出していた。

藤原光司はすぐには入らず、白皙の指の関節でドアを二度ノックした。

室内の人物に反応はなく、そこでようやく中へと足を踏み入れた。

「ペニー?」

この部屋の間取りは彼の部屋と同じで、ただ内装が違うだけだ。

室内の照明をつけると、岩崎奈緒が眉間にしわを寄せるのが見えた。眩しい光に目をやられたのだろう。

藤原光司は彼女の額に手を置こうと持ち上げたが、伸ばしきる前に、岩崎奈緒の目が開いた。

彼女の顔には相変わらず血の気はなかっ...

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