第257章

岩崎雄大はすでに一般病棟に移されていたが、酸素マスクをつけ、意識は戻らないままだった。

頭の傷はガーゼで覆われており、見た目は十歳以上も老け込んだように憔悴しきっている。

岩崎奈緒はそばにいた医師に尋ねた。

「父は、いつ頃目を覚ますのでしょうか」

「岩崎さんはもともと体が弱っていた上に、今回は生死の境を彷徨い、ひどく消耗されています。いつ意識が戻るかは断言できません。今日かもしれないし、一ヶ月後かもしれません」

岩崎奈緒の目は、途端に赤くなった。

一方、岩崎雄大が一般病棟に移されたと知った鈴木蘭は、いてもたってもいられなかった。

彼女は今、岩崎家の会社におり、すぐさま八重樫舜を...

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