第260章

松岡和人の額には汗がびっしょりと浮かんでいた。手柄を立てようと焦り、部長の前で大口を叩いてしまったことを、今になって少し後悔していた。その後、社長にまで出くわし、良いところを見せようとさらに大風呂敷を広げてしまったのだ。

もし今回の任務を完遂できなければ、石川大知の下での自分の立場は、さらに厳しいものになるだろう。

「ペニーさん、僕が宝科を代表しているわけではありません。ただ、上の命令を受けて、ペニーさんのところへ情報を探りに来ただけです。今、社長は他のお客様を接待中でして、お会いする時間が取れません。それで、僕があなたと知り合いだと言って、しゃしゃり出てきたのです。申し訳ありません」

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