第274章

三十分ほど車を走らせ、ようやく御景テラスに到着した。

岩崎奈緒が真っ先に車を降り、萩原初と萩原彩花が続くのを見て、中を指し示した。

「萩原さん、どうぞ」

彼女の態度に萩原初はまあまあ満足したようで、特にケチをつけることもなく、後について中へ入っていった。

御景テラスのこの物件は当時非常に人気があり、周りには千平方メートルもの庭が広がっている。

すべてこの別荘専用の庭だが、今はまだただの荒れた芝生で、これも岩崎奈緒のデザインを待っている状態だった。

岩崎奈緒は二人を例の柱があった場所まで案内した。内部は工事中で、騒音がひどく、埃も舞っている。

萩原初は眉をひそめ、顔の前で手を振っ...

ログインして続きを読む