第282章

岩崎奈緒はその頃、すでに山暁へ戻っていた。途中、松岡和人に電話をかけ、そちらには行かないと告げた。

松岡和人は少しがっかりしたが、すぐに以前関係を持ったことのある女に電話をかけた。

岩崎奈緒という高嶺の花に手が届かないのなら、代わりに女を一人呼んで寝るのも悪くない。どのみち食事の代金は支払い済みだ、無駄にはできない。

山暁に戻り、自室のベッドに腰を下ろした岩崎奈緒は、まだ肌の上を唇が這う感覚が残っているのを感じた。その強烈な刺激は、骨の髄まで届きそうだった。

あの夜を除けば、男性とこれほど密着したことはない。

彼女は慌ててバスタブに湯を張り、服のボタンを外した。そこに広がるび...

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