第287章

「岩崎奈緒はどこに行ったの!今すぐここへ転がり出てこいと伝えなさい!」

白石秋は今夜、本気で怒り狂っていた。その眉間には険しい色が浮かんでいる。

もし藤原光司の身に何かあれば、岩崎奈緒が百人いたところで償いきれるものではない!

石川麻衣もまた、白石秋を少し恐れていた。この人は時折ひどく理不尽で、岩崎さんに対しても一切容赦がない。

「白石様、岩崎様は外出しております」

その言葉を聞いて、白石秋の怒りはさらに燃え上がった。

「結婚している身でまだ外にいるですって。どこの馬の骨とも知れない男と会っているんじゃないでしょうね。今何時だと思ってるの?もうすぐ十一時じゃない!一日中何を忙しが...

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