第297章

お爺さんはそう言い終えると、苦痛に胸を押さえた。

藤原光司の足がぴたりと止まり、慌ててその体を支える。

「お爺さん、気を悪くしないでください。電話しますから」

彼はお爺さんをソファに座らせると、お爺さんは彼をキッと睨みつけた。

「わしがお前の魂胆を知らぬとでも思うておるのか。萩原初と付き合ったのは、兄の件があったからに他ならんだろうが」

藤原光司はその問いには答えず、ゆっくりと背中をさすった。

「お爺さん、少しは楽になりましたか?」

藤原のお爺さんは深呼吸を一つした。

「本当にわしのことを思うてくれるなら、わしを怒らせるでない。奈緒はわしが千人に一人と選び抜いた嫁じゃ。お前が...

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