第62章

岩崎奈緒は普段通りの表情で、人の水を勝手に飲んでいることに気づいていなかった。

学校の主任と学長が事件に巻き込まれたため、副学長が急いで前に出て状況を収拾し、来賓たちに対応した。

一連の騒動はこれで終わり、副学長はわざわざ藤原光司のところまで来て、直々に謝罪した。

「藤原社長、お恥ずかしいところをお見せしてしまい申し訳ございません。学校側から投資家の皆様に必ず説明させていただきますし、警察の捜査にも積極的に協力いたします」

藤原光司は眉間にしわを寄せた。この人の態度は学長よりもずっと良かった。

副学長は岩崎奈緒の方を見て、感慨深げな口調で言った。「久しぶりだね、ペニー」

かつて岩...

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