第65章

岩崎奈緒が中に足を踏み入れると、犬の鳴き声が聞こえ、遠くから真っ白な影が駆け寄ってきて、興奮して彼女の周りをぐるぐると回っていた。

岩崎奈緒は身をかがめて、その頭を撫でた。

「ユキ、いない間、ちゃんと言うこと聞いてた?」

石川麻衣が中から出てきた。彼女はエプロンを身につけ、五十歳前後に見え、温和で朴訥とした印象だった。

「岩崎さんがいない間、この子ったら本当にやんちゃでね。昨日なんか池の魚を捕まえに行ってね、全部咥えてきちゃったから、結局私が骨を取って魚の身を煮てあげたんですよ」

岩崎奈緒は思わず笑みがこぼれ、ユキの頭をさらに強く撫でた。「あなたったら、こんなに食いしん坊なの」

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