第64話

イライジャの心臓が一拍飛んだ、彼女の言葉が頭の中で響いていた。彼女は彼を愛していた。彼は彼女の顔を両手で包み、身を屈めて彼女にとても優しくキスをした。それは彼女の息を詰まらせるほどだった。これまで彼の唇がこれほど優しく彼女の唇に触れたことはなく、欲望や情欲に駆られたものではなく、純粋でありながら愛に満ちた情熱と感情のこもったキスだった。彼女も彼にキスを返したが、その時、鼻にかかった迷惑な声が二人を邪魔した。

「うわっ、気持ち悪い！あなたたち何してるの？！」

スカーレットは後ずさりし、そこに立っているキエラと、彼女を見つめる賞賛に満ちた目をした彼女よりもはるかに大きな狼男を見た。

「俺たち...