第13章 彼を探しに行く

今泉拓真が眉をひそめる。すぐさま何かに思い至った。「日野家の仕業か?」

日野遥斗は物腰こそ穏やかで礼儀正しいが、決して善人ではない。

「はい、確認しました。日野家の若様が隣の病室にお住まいで、千田さんと少々いざこざがあったようです」

今泉拓真は冷笑を浮かべた。日野遥斗め、今泉家にまで手を伸ばしてくるつもりか。

よくもまあ、小島麻央を連れて外食などできたものだ。

あの手をつないでいる様は、事情を知らない者が見れば、まるで親子三人のようではないか!

「今泉社長、これからどうなさいますか?」と、助手が尋ねた。

「その程度のことをいちいち俺に言わせるな」今泉拓真は冷ややかに言った。「日...

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