第27章 夫を亡くしただけ

「どうして何でもかんでも愛由美に結びつけるんだ?」今泉拓真は顔をこわばらせた。「三言目には愛由美、愛由美と。そんなに彼女が憎いのか?」

「ええ、もちろん憎んでるわ」小島麻央は顔を向け、彼の瞳をまっすぐに見据えた。「あなたが私の立場だったらどう? 何の理由もなく一年も刑務所に入れられて、一生消えない前科がついて、まともな仕事さえ見つけるのが難しい。それで憎まないでいられる?」

今泉拓真が口を開く前に、彼女はフッと淡く笑った。

「どうして私、あなたにこんな馬鹿な質問をしたのかしら。あなたは生まれながらの選ばれし者で、こんな悩みとは永遠に無縁でしょうから。だから、私の憎しみなんて理解できる...

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