第30章 大樹が危機に遭う

「いなくなった?」小島麻央はダイニングエリアを指差した。「さっき、あそこで食事をしていましたのに」

「いない。一通り探したが見つからない」

「どうして?」小島麻央は眉をひそめた。「早く手分けして探しましょう」

「ああ」

荘園は広大で、今泉拓真は小島麻央と共に屋内外を探し回ったが、人影は見つからなかった。二人はすぐに日野遥斗と合流した。

「見つかったか?」

「いや」日野遥斗は眉を顰める。「正門の方に確認したが、大樹は出ていない。まだ荘園の中にいるはずだ」

小島麻央は少し不安になった。「福原夫人に話して、皆さんに手伝ってもらうのはどうでしょう」

日野遥斗は少し考え、冷静に言った。...

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