第37章 離れることを決める

小島麻央は唇をきゅっと引き結び、何も言わなかった。

今泉拓真はそのまま立ち上がって部屋を出て行った。

「麻央、怒らないでおくれ」祖母が慰めるように言った。「あとで拓真には私がしっかりと言い聞かせておくから」

小島麻央は微笑んだ。「おばあ様、いいんです。私のことでおばあ様と拓真さんの仲を悪くしたくありません」

祖母が心から自分を可愛がってくれていることは分かっている。そして自分もいずれ今泉拓真のもとを去るのだ。どうせ離れる運命なら、なおさら二人の仲をこじれさせるわけにはいかない。

「腹減ったな」今泉健太郎が大仰に口を開いた。「義姉さん、なんか作ってくれよ」

小島麻央は彼の方を向いた...

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