第50章 気にしなくなった

「男なんて単純な生き物よ!」千田麻美子はそう分析してみせた。「どんなに不味いものでも、食べ続ければ慣れるもの。拓真は小島麻央という存在に慣れてしまったのよ。それに、前から言ってるでしょ。男にとっては、まず性があって、それから愛が生まれるの。拓真は小島麻央を愛してないって口では認めてるけど、二人の間には性的な関係がある。それだけで、男一人を繋ぎ止めるには十分なの」

「それに加えて、小島麻央はあのクズ、手段が狡猾だわ。結婚してからずっと低姿勢で、良妻賢母のふりをし続けて、拓真に自分の存在を慣れさせた。それで今になって突然離婚を切り出すなんて、拓真が順応できないのも当然よ」

千田愛由美は歯が砕...

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