第51章 彼女の心を溶かす

「それは結構なことね」祖母は冷たく笑った。「拓真がきっと証拠の連なりを固めてくれたんでしょう。千田麻美子は刑務所行きね」

「今度ばかりは彼女も慌てざるを得ませんよ。あちこちで吹聴しているそうです。千田家と今泉家は代々のお付き合いだとか、先代の話まで持ち出して、今泉家は恩知らずで、若奥様が彼女を陥れるのを黙認している、と訴えているとか」

「そう?」祖母は堪えきれずに笑った。「その言葉、拓真に聞かせてやらないとね」

「ご安心ください、奥様。あれだけ大々的にやらかしているのですから、若旦那様のお耳に入らないわけがありません」

……

今泉拓真が千田家に足を踏み入れることは滅多になく、普段は...

ログインして続きを読む