第61章 子供を欲しい

まさか小島麻央は、そんなにも早くから彼を愛していたというのか?

てっきり、結婚してから愛してくれたのだと思っていた。

「おばあ様、小島麻央のために兄貴を道徳で縛るのはやめてくださいよ」今泉健太郎が口を開いた。「一部の人間の目は、犬を見るときでさえ情が籠もっているように見えるんです。小島麻央の目がキラキラしているのも、そういう類でしょう」

祖母は彼を白けた目で見やった。「麻央がお前を見る目は、まさに犬を見る目そのものだよ。情のかけらもない」

「……おばあ様、ひどいじゃないですか!」

「お前を罵っているんだよ、恩知らずが!」祖母は言った。「お前の義姉さんが、お前に優しくしてくれなかった...

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