第96章 一緒に寝た

「拓真、大丈夫?」千田愛由美は泣きながら言った。「そんな顔しないで。あなたが悲しいと、私はもっと悲しくなるわ……」

「なんでもない」今泉拓真は目を閉じた。「出ていってくれ」

千田愛由美は諦めきれず、探るように尋ねた。「アフタヌーンティーでも用意しましょうか」

今泉拓真は何か考え事をしているようで、答えなかった。

しかし千田愛由美はそれを黙認と解釈し、嬉しそうに車椅子を操作して階下へ向かった。

……

小島麻央は一睡もしておらず、加えて心の痛みもあり、松野律に心配をかけまいと、思い切って休みを取り部屋で休んでいた。

ベッドに横たわるが、ひどく疲れているのに、眠気は少しも訪れない。

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