第49章

「何だって?」

月見の母は、夫である月見の父とビジネスの話をしていた最中だったが、その言葉を聞くや否や、声色を鋭く変えた。

「映司、まさかまだあの人殺しに未練があるんじゃないでしょうね?」

月見の父は無言だったが、その表情は明らかに不賛成の色を浮かべ、月見映司を見据えていた。

『ああ、忘れられないんだ』

その言葉が月見映司の喉元まで出掛かった。だが、唇を突いて出たのは、正反対の答えだった。

「いいえ」

「そう、ならいいわ!」

月見の母は安堵の息を漏らしたが、すぐに不快そうに顔を歪めた。

「神代雪璃と優心はあんなに仲が良かったのよ。それなのに、霧生嵐が優心を好きだというだけで...

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