第9章
司のアパートに仕掛けた隠しカメラの映像は何週間も録画し続けていたが、今夜の監視はいつもとは訳が違った。
これまでにも、手を繋いだり、名残惜しそうに触れ合ったり、ひそひそ話をしたりといった怪しい行動の断片は捉えていた。だが、二人を完全に叩き潰すには決定的な証拠とは言えなかった。
今夜までは。
ソファに座る司と隆。隆の指が司の髪に絡みつき、二人の唇は固く重ね合わされていた。そのキスは、私が知るべきだった全てのことを雄弁に物語っていた。
「やっと……」復讐心に満ちた興奮で心臓が激しく脈打つ中、私は囁いた。「やっと捕まえた、クソ野郎ども」
確かに、兄が元カレと深く舌を絡ませ合って...
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