第106話

クインラン視点

「貴様、ここで何をしている」アルファ・デレクが唸る。ドアの方を見ると、そこに立っていたのは今まで見た中で最も美しい女性だった。ブロガンに言われずとも、彼女が俺たちにとって何者なのかはすぐに分かった。

「落ち着け。彼女が家族との縁を完全に断つつもりがあるのか、確かめたい。あんな連中を権力や俺たちの子供の近くに置きたくない」俺は、ブロガンが完全に表に出てくる前にそう言い聞かせた。

「私が彼女を呼んだのだ。ラリッサ、君が耳が聞こえないことは承知している。だが、王家のベータである私なら、君とマインドリンクができる。全ての質問には私を通して答えてほしい」ダラスが告げる。

ダリウスが彼女...

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