第116話

ダラス視点

「大丈夫かい、小さな子?」パックハウスから歩き出てくると、ダクストンが尋ねてくる。私たちのガーディアンたちは、元アルファの死に不満を持つパックのメンバーがいないか警戒しているが、私たちのことにはほとんど注意を払っていない。

「ええ、大丈夫。チャーナが主導権を握って、私は身を任せていただけだから」私はそう言いながら、ダリウスの肩の傷を見つけようと彼に目を向けたが、見えるのは血だけだった。

「もうすっかり治ったよ、小さな子」カミュの声が聞こえ、見上げると彼が意識の表層近くまで出てきているのがわかった。「俺の人間を癒して、君が無事か確かめる必要があったんだ」

私たちのシフターの半身は、...

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