第36話

ダラス視点

「あの子は何も覚えていないわ。この話はもう何百万回もしたでしょう」とマデリーンは席を立ちながら言うが、ジェスパーが素早く彼女を椅子に押し戻した。

「何があったか、俺は覚えているよ、母さん。あんたとセージが全部仕組んだんだ。セージが俺に使った薬を手に入れるのを手伝ったのもあんただ。セージが狙っていたのは俺じゃなかった。そしてローグの襲撃が、彼女のチャンスを台無しにしたんだ」ダクストンの言葉に、マデリーンは少し顔色を失う。

「プレストンから朝まで戻らないという連絡が入った後、あんたがセージと交わしていた会話も覚えている。セージが、自分こそルナになるにふさわしい、そのためなら汚い手を使...

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