第53話

スカーレット・クレセント領

「お父様、ダイアラ姫に関する情報をすべていただきたいの。誰がどの情報をもたらしたのか、そしてそれが徹底的に調査されたものなのか、知りたい」長老ヴェネツィアは、家に足を踏み入れながら言った。

彼女のメイトは何かおかしいと察し、階段を上って、彼らがオフィスとして使っている隠し部屋へと向かう。家へ越してきてすぐ、義父の提案で設えた部屋だ。

ヴェネツィアの一族は全員、ダイアラとその血筋を守ると誓っていた。彼女とジェンセンが今も長老会のメンバーでいられる唯一の理由は、ヴェネツィアの父のおかげである。もし彼らが長老会のメンバーでなくなれば、数十年にわたる情報が失われるこ...

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