第60話

ダラス視点

デズラ王女は私の質問に答えるのを快く思っていない。重要なのは、私が何かに気づいていることを彼女が承知しているかどうかだ。

私の名前は誰の口からも出ていない。だから、これからの尋問で私が何を訊くか、彼女には予測できないだろう。おそらく彼女は、自分の痕跡はすべて消し去り、誰にも真実を暴くことはできないと信じているはずだ。

「ダロン王子とのご関係は約十七年前に始まり、お子様が二人いらっしゃると。それで間違いありませんか?」私は彼女を見つめ続けながら尋ねる。

「ええ、その通りです」デズラ王女が答えると、ヴォーン国王の目に悲しげな色が浮かぶのが見えた。

この会談がどこへ向かうのかを考えると...

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