第65話

ヴォーン王視点

ダラスが玉座の間に入ってきて以来、事態はジェットコースターのように目まぐるしく展開していた。だが当初、私には何が起きているのか理解できていなかった。

私の中のライカンは、私が自力で真相に辿り着くまで、一言も口を開かなかった。奴は、彼女が玉座の間に足を踏み入れた瞬間にすべてを悟っていたのだ。我々がダラスに感じていた違和感の正体を。

結局のところ、ダラスにおかしな点は何もなかった。ただ妹が、我々に隠し事をしていただけのことだったのだ。

デズラは宮殿の外で過ごした数年間について、決して話そうとしなかった。自身の息子たちを含め、家族の誰に対してもだ。息子たちが彼女のいわゆる流産のこと...

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