第11章

 おそらく私の再起が、白鳥知世の精神を完全に追い詰めてしまったのだろう。

 彼女は狂行に走った――私を誘拐するという暴挙に。

 廃墟と化した化学工場。

 私は宙吊りにされ、眼下には強酸の廃液が煮えたぎるプールが口を開けていた。

 誘拐犯は藤堂延にビデオ通話を繋いだ。

「藤堂延! テメェが白鳥家を潰したなら、俺はテメェの最愛の女をぶっ壊してやる!」

 男は下卑た笑みを浮かべた。

「また二択ゲームの始まりだ。自分の命か、こいつの命か。自分の命と引き換えにする度胸はあるか?」

 藤堂延は一瞬の躊躇もなく即答した。

「指一本触れるな。すぐに行く」

「望みは全部叶えてやる。だが、彼...

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