第12章

 藤堂延の秘書が、株式譲渡書を携えて私のもとを訪れた。

「雨宮様、これは藤堂の遺言書です。すでに弁護士による公正証書の手続きは完了しております。署名の有無にかかわらず、これら全株式の受取人は雨宮様となっております。もし不要であれば、寄付していただいても構いません」

 私は暫くの逡巡の末、その遺言書を受け取った。

 そして藤堂財閥が抱える巨大な産業の統合に着手し、それらを私のビジネス版図へと組み込んでいった。

 私は、東京財界の新たな覇者となった。

 同時に、白鳥知世を刑務所の塀の向こう側へと送ることにも成功した。

 祥月命日。空は小雨に煙っていた。

 私は黒い傘を差し、藤堂延の...

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