第5章

 白鳥知世の顔から、勝ち誇った笑みが凍りついた。

 彼女が期待していたであろう怒りも、嫉妬も、ヒステリーも、そこには一切なかった。

 私はまるで澱んだ水のごとく静まり返っている。どれほど大きな石を投げ込まれても、波紋一つ立ちはしない。

「雨宮寧音、何よそのすました顔は!」

 彼女は猛然と立ち上がり、羞恥と怒りで顔を歪めた。

「あんたなんて、所詮は延くんの飼い犬なのよ! 飼い主に捨てられて、一番大切なものを新しい飼い主に奪われたのに、悔しくないわけ!?」

 やはり、彼女はこのネックレスが私のデザインだと知っていたのだ。

「悔しい? どうして?」

 私は首を傾げて問い返した。

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