第7章

そっと堀込真啓の腕からアンティークの腕輪を外す。赤い痕に触れないよう、細心の注意を払った。腕輪の内側には精巧な桜の模様が彫られており、ひんやりとした感触が伝わってくる。堀込真啓の手首には薄っすらと赤い跡が残っており、私は思わず罪悪感に苛まれた。

「堀込さん、お薬は要りますか?」

私は小声で尋ねた。涙がまたしても堪えきれずに溢れ出てくる。

堀込真啓はスーツを整え

「必要ない。ずいぶん上達したな。もう立派に悪役令嬢を演じられている」

その声はいつもの冷静さを取り戻しており、先ほどまで拘束され、髪飾りを噛んでいたのが彼だとは到底思えなかった。

次から次へと溢れ出る涙を拭い、私は...

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