第9章
私は無言のまま家に入り、まっすぐ自分の寝室へと向かった。
背後から堀込真啓の足音が聞こえる。彼は私の部屋の入口に立ち、その瞳には、私には読み解けない複雑な感情が宿っていた。
「杏、メインシステムに申請しておいた。お前の黒川司をいじめる任務を免除してもらうようにな。結果が出れば、もう矢留家に住まなくていい。しばらくは黒川司のことは放っておいて構わない」
彼の声は落ち着いていたが、どこか恨めしげな響きを帯びていた。
私はベッドの縁に腰掛け、無意識にパジャマの裾を弄りながら、ただ一言「うん」とだけ応えた。
堀込真啓はまだ何か言いたそうだったが、結局、軽くため息をついて部屋から出...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章

10. 第10章

11. 第11章


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