第5章

絵里

午前二時。

豪華なキングサイズのベッドに横たわり、私は天井をじっと見つめていた。

眠れなかった。

目を閉じるたび、さっき耳にした言葉が蘇ってくる――「健太の始末」、「海に死体を捨てる」、「裏切り者には死を」。

なんてこと……私は、いったいどんな男と関わってしまったのだろう?

突然、階下から奇妙な物音が聞こえてきた。

誰かが苦痛に呻いているような音。

息を殺して耳を澄ますと、また聞こえてきた。低い男の呻き声に、何か金属がぶつかるような音が混じっている。

(あの音……誰かがもがき苦しんでいるみたい……)

そう思ったが、好奇心が蛇のように心に巻きついた。...

ログインして続きを読む