第6章

絵里

三日後。

和也の肩の包帯を、私はそっと取り替えた。カーテンの隙間から差し込む午後の陽光が彼の顔を照らし、普段は冷徹なその人を、どこか無防備に見せている。

「傷の治りは順調よ。でも、完治するにはあと数日はかかるわね」私は傷口に触れないよう、慎重にガーゼを扱った。

この三日間、ずっと彼の看病をしていた。なぜそんなことをするのか、自分でも説明がつかない。彼が私を庇って怪我をしたせいで、恐怖心が揺らぎ始めているのかもしれない。

和也が私の手を取った。「看病してくれてありがとう。君が……俺を怖がっているのは、わかってる」

彼の手は温かく、あの夜に見た冷酷な殺し屋の姿とはまる...

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