第7章

絵里

早朝、私は静かに荷物をまとめた。木慎の言葉が頭の中で何度も蘇る。和也がまだ回復しきっていないうちに、ここを出なければならない。

物音を立てないよう、慎重にバックパックに着替えを数枚詰め込む。和也はまだベッドで眠っている。昨夜、鎮痛剤を飲んでいたから、すぐに目を覚ますことはないはずだ。

ナイトテーブルの上のスマホの充電器に手を伸ばした、ちょうどその時、指先に小さくて硬い何かが触れた。

私は凍りついた。

装飾用の花瓶の陰に隠されていたのは、小さなカメラだった。そのレンズは、ベッド全体に真っ直ぐ向けられている。

「なんなのよ、これ……?」信じられない思いで、私はその小さ...

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