第50章

手にした電話を置き、家で何かが起きているに違いないと分かっていた。海子と父が一ヶ月半も抑制していた時間、突然お互いを解放したなら、二人は一体どのようなことをしているだろう。そんな混沌とした思考を抱えながら、棚卸しの作業を続けたが、心ここにあらずで、棚卸しのミス率が非常に高く、本来なら午前4時頃に完了できる作業が、午前6時まで掛かってしまった。

この間、何度も海子に電話をかけ直そうと思ったが、最後はいつも諦めた。もし二人の邪魔をしてしまったら、これまでの計画と推進が水の泡になってしまうのではないか。そんな迷いと葛藤の心境で、6時にようやく棚卸し作業を完了した。

トイレで簡単に身支度を整え、...

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