第51章

ここまで見て、私は一ヶ月半が経った今でも、彼女がまだ心の中のその関門を越えられずにいることを理解した。私という夫のために、彼女はまだ自分の欲望を封じ込めているのだ。そう思うと、私の心は深く感動した。先日の父との接触の過程から、三十歳を迎えた彼女の欲望がどれほど強いものかを私は知っている。今日、彼女が肝心な時に父を拒絶できたということは、どれほど大きな精神力を必要としたことだろう。

もしかして、これが海子が今朝気分が沈んでいた原因なのか?その可能性もある。たった数分間だけだったが、海子の心の中では長い苦悩が続いていたに違いない。私はコンピュータの映像を見つめながら、海子の寝室とリビングルーム...

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