第84章
ゆっくりと、すすり泣く声が魅惑的な夜色の中に消えていき、すべてが静寂に包まれた。外では滔々と流れる川の水が岸辺を打ち、窓の外の草むらでは蝉が鳴いている音だけが響いていた。
自分でつねって火照った太ももの付け根を手で撫でながら、本当に心身ともにボロボロだなと思った。睡魔に抗えず、寝返りを打つふりをして目をそっと開け、慎重に床の方を窺った。父の靴の置かれた位置を確認し、全力でその位置を記憶してから、深い眠りに落ちた。
朝5時、セットしておいたアラームに起こされて目を覚まし、急いで起き上がった。起きたばかりでぼんやりしていたが、昨夜自分がしたことを忘れてはいなかった。何気ないふりをして父の靴に...
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