第12章

鴉崎響は無意識のうちに、手術室の方へ足を踏み出していた。

「待て!」

八朔綾人が猛然と立ちはだかる。その瞳は、骨まで凍りつくほど冷徹だった。

「鴉崎響、まだ分からないのか? 彼女は死んででも、お前から逃げようとしたんだぞ。

お前がここにいること自体が、彼女を死へ追いやるんだ。

少しでも良心が残っているなら、今すぐ消えろ。

二度と彼女の前に現れるな! もう、解放してやれ」

八朔綾人の言葉は、一つ一つが鋭い刃となって心臓を抉った。

鴉崎響は、氷のような床に釘付けにされたかのように硬直した。

視線の先には、手術室を示す不吉な赤いランプ。

あれらの蒼白な顔色も、絶え間ない震えも、...

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