第48章

月見華は無意識のうちに半歩後ずさり、拒絶の言葉を口にした。

「結構です。自分でタクシーを拾いますから」

情緒不安定なこの男と、閉鎖的な車内で二人きりになるなど御免だ。

鴉崎響の唇が、嘲るような弧を描く。

「この時間、この天気で、いつまでここに突っ立っているつもりだ? それとも……愛人の迎えでも待っているのか?」

愛人だと? ふざけないでほしい。

本当に、人の神経を逆撫でするのが得意な口だ。

月見華は彼を睨みつけ、冷ややかに言い返した。

「鴉崎社長は随分と管轄が広いのですね。他人のプライベートにまで口を出すのがお仕事ですか?」

「乗れ」

鴉崎響は苛立ちを隠そうともせず、同じ...

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