第50章

「分かったわ。私たちは家族よ。一緒に朝霧家を守りましょう。

だからこそ、一輝もちゃんと学校へ行って。力をつけることが、姉さんとこの家を守ることに繋がるんだから」

朝霧一輝はもう強情を張ることなく、素直に頷いた。

「うん、姉さんの言う通りにするよ」

それから数日間の平穏な日々が、月見華の張り詰めた神経を少しだけ休ませてくれた。

あのレストランでの衝突の後、さすがの鴉崎響も執着を捨てたのだろう――彼女はそう思い始めていた。

だが、その日の夕方。

車でマンションの敷地内に戻った彼女の視界に、遠目からでも分かるあの車が飛び込んできた。

見覚えのあるベントレー。

あの男は、まだ付きま...

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