第55章

彼女は一呼吸置くと、月見光を真っ向から見据え、一言一句を噛みしめるように告げた。

「それとも……怖じ気づいた? 私が本当に、鴉崎響の心におけるあなたの地位を脅かすんじゃないかって」

その言葉は、月見光の急所を的確に貫いた。

「で、出鱈目を言わないで! 私が怖がるですって!?」

月見光は金切り声を上げ、顔を朱に染めた。

「響さんの心には私しかいないわ! 昨日だって私の発表会に来てくれたし、パーティーにも付き合ってくれた! 彼は……」

「じゃあ、どうして昨夜はあなたを置き去りにして、車で私を追いかけてきたのかしら?」

月見華の非情な一言が、月見光の自己欺瞞に引導を渡した。

月見光...

ログインして続きを読む