第59章

「夢乃、やっと来たか!」

天ノ川元成は天ノ川夢乃の腕をぐいと掴んだ。

「勝手に出歩くんじゃない。こっちへ来なさい。有力者の方々と、そのご子息を紹介してやる」

「お父様、何するのよ!」

天ノ川夢乃は嫌そうに身をよじり、抵抗した。

「私は……朝霧さんと一緒に来たのよ!」

「朝霧さんなら、一人で見て回れるだろう」

天ノ川元成は月見華に目もくれず、娘に向かって畳みかけた。

「今日は名だたる名家のご子息ばかりが集まっているんだ。滅多にない機会だぞ、少しは気合いを入れろ!」

その剣幕は、何としても今夜中に娘の相手を見繕ってやろうという執念に満ちていた。

天ノ川夢乃は怒りで顔を青ざめさ...

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