第40話フリンさんの奥さんだったんですね

踊りが終わると、リースは舞台上で一礼した。観客は割れんばかりの拍手と、尽きることのない賛辞で熱狂した。

「なんてこと、今の踊りは本当に素晴らしかったわ。あのお嬢さん、まるで白鳥のように優雅で気品があった」

「ピアノを弾くことなんて、ダンスには到底敵わないと急に悟ったよ」

「どこかのお家が、宝物のように普段は隠しているご令嬢に違いない」

先ほどまでリースを疑っていた者たちは、今や完全に沈黙していた。

一方、観客席にいたダリアとナンシーは、まるで悪魔でも見たかのような顔をしていた。二人とも、目の前の光景が信じられなかった。

先に我に返ったのはダリアだった。彼女の顔は信じられないという表...