第50話ハチミツにちょっとしたご褒美をあげる

「我が家の決まりでは、目上の方がいらっしゃらない時は、年下の者は許可なく食事をしてはならないことになっております」

使用人が説明し終える前に、階下へ下りてきたヴィンセントが口を挟んだ。

リースはわずかに視線を上げた。その瞳には、かすかな鋭さが宿っている。ヴィンセントには、この少女が自分に敵意を抱いていることが分かった。おそらくは、彼の麻痺した兄、マルコムのせいだろう。

まさかこの少女が自己主張するとは思わなかった。

リースはフォークを止めることなく、食べ物を口に詰め込み続けた。頬を膨らませながら、彼女はぶつぶつと呟く。「でも、すごくお腹が空いてて。待ってたら遅刻して罰金を取られちゃうん...

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