第600話あえて妻に触ってみる

「ええ」。もちろん、自分のことを知りたかった。

セバスチャンは眉を上げた。「夕食をおごってくれたら、教えてあげよう」

アリッサはセバスチャンの罠にまんまとハマっていくような気がした。「じゃあ、聞きたくないわ」

「まあ、そう言うなよ。君を家まで送ったら、帰る頃にはもう食べるものなんてないだろ?」セバスチャンは今日、どうしてもアリッサにおごらせたかったのだ。

アリッサは時間を確認した。確かに、もうそんな時間だった。フリン家では家に食材をストックしておく習慣がなく、食事はほとんど外食で済ませていた。

誰かが食事に誘ってくれているのだから、悪い話ではない。「わかったわ。でも、お店は私が選ぶか...

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